What’sURUSHIis

「URUSHI is」は、漆を世界中の人たちに親しんでもらうために立ち上げたプロジェクトです。日々使う汁椀やハレの日の重箱など、伝統工芸である漆器は、昔から日本の生活の中にありました。
漆器はどのように作られているのか。どんな技術が使われているのか。職人はどんな思いで作っているのか。日本で古くから親しまれているにもかかわらず、漆器は奥が深くまだまだ知られていないことがたくさんあります。
本プロジェクトでは、越前漆器をはじめとした漆や漆器の魅力を伝え、より多くの人にとって漆が馴染みあるものになることを目的としています。このプロジェクトをきっかけに漆器の可能性が広がり、多くの人の暮らしを彩るものになれば幸いです。
URUSHIisについて

URUSHIis越前漆器

そもそも漆とは何なのでしょう。漆とは、ウルシの木から採れる樹液であり、日本で古くから使われてきた天然の塗料です。木材が腐るのを防ぎ、長持ちさせるために活用されてきました。
この漆を木製の器に塗って仕上げたものが漆器です。代表的なものに、椀や重箱、盆、膳、箸などがあります。日本文化に欠かせない漆は、そのかたさや耐久性、装飾のしやすさなどで重宝されてきました。食器だけでなく、建物や仏像、芸術品などにも幅広く使われています。
代表的な漆器のひとつである越前漆器は、福井県鯖江市河和田地区を中心に生産されています。越前漆器の特徴は、つややかで深みのある塗りと軽さ、そして丈夫さです。伝統的な木地に本漆を塗ったものだけでなく、合成樹脂や化学塗料を使った工業的な漆器の生産にも力を入れてきました。伝統だけでなく、新たな技術にも挑戦している産地といえるでしょう。
越前漆器

URUSHIis伝統漆器と工業漆器

越前漆器が大きく発展した理由のひとつが、工業漆器です。全国の飲食店や旅館で使われている漆器の80%以上を越前漆器が占めています。本漆を木製品に塗る伝統的な漆器と異なり、工業漆器では合成樹脂などの素材に化学塗料が塗られています。
昔ながらの伝統的な漆器は、木を削って木地と呼ばれる器をつくり、漆を塗ります。塗った後に乾かすと、漆が木地に定着。塗りが仕上がると、製品に合わせて沈金(ちんきん)や蒔絵(まきえ)といった装飾を施します。沈金は、模様や絵柄を漆器に彫り、その彫り跡に接着剤代わりの漆を塗って金粉や銀粉、顔料などで色付けします。蒔絵は、細い筆を使って漆で絵を描き、漆が固まらないうちに金粉や銀粉をまいて絵にします。
一方、工業用の漆器は合成樹脂などの素材を成型し、化学塗料で塗装。絵や模様にはスクリーン印刷を利用します。製造工程を簡略化することで、安く大量に生産することが可能となりました。
製品によっては、木製品に化学塗料を塗ったり、合成樹脂に本漆を塗って蒔絵を施したりと、伝統技法と新しい技術を組み合わせることもあります。越前漆器では、用途や予算に合わせて必要な技法・技術を選び、現代の漆器を作り上げているのです。
伝統漆器と工業漆器 伝統漆器と工業漆器

URUSHIis暮らしを豊かにする道具

暮らしを豊かにする道具
日本の伝統工芸である漆器。そのひとつである越前漆器は、椀や重箱のような生活に欠かせないものとして、1500年前から暮らしを支えてきました。漆は丈夫で劣化しにくく、抗菌作用もあります。その特性を活かし、現代では食器だけでなくさまざまなものに活用されています。
優れた塗料である漆は、昔も今も変わらず人々の暮らしを豊かにする道具として使い続けられています。

URUSHIis分業制

分業制
越前漆器の産地である河和田地区では、分業制でものづくりが行われています。伝統的な漆器は「木地をつくる → 漆を塗る → 装飾する」という工程で製造されています。その工程のひとつひとつを別々の職人が担当。すべての工程を行う工房は数が少ないのです。
また、ろくろを回してつくるお椀などの丸物と、木のパーツを組み合わせて作る重箱などの角物、あるいは伝統的な本漆塗りの漆器と工業的な合成樹脂の漆器など、必要となる技術が異なっています。そのためそれぞれに特化した職人が担当しています。

URUSHIis伝統と革新

伝統と革新
木地に漆を塗ってつくる伝統的な越前漆器は、1500年前から現代まで続いています。今は伝統的なものに加えて、合成樹脂にウレタン塗装を行い、大量生産する工業的な漆器も製造。どちらも産地にとって大切な商品です。
越前漆器では、昔ながらの手工芸だけでなく新しい技術を取り入れ続けてきました。伝統と革新が融合するこの地には、挑戦し続ける職人たちが集まっています。

URUSHIis何にでも塗れる

何にでも塗れる
日本文化に欠かせない漆。椀や重箱のような食器をはじめ、机やいすなどの家具、建物の柱や床、仏像や芸術品などに塗られています。実は、漆の特性である耐久性や抗菌作用などを活かして、昔から多方面で利用されてきました。たとえば、神社仏閣の修復や車の内装、工業製品、医療用製品など、さまざまなところで活用されています。
さらに化学塗料と組み合わせることで、素材を問わず塗れるようになりました。時代の変化に合わせて、漆は進化し続けているのです。

URUSHIis塗り直しや修理もできる

塗り直しや修理もできる
生活に根ざしてきた漆器は、何度も塗り直しや修理をしながら長く使うことができます。塗りが薄くなってしまったり、はげてしまったりした場合、塗り直すことでよみがえります。また、ヒビが入ったり、欠けてしまったりしても修復が可能。キズを漆で埋めて金粉の装飾を施す金継(きんつ)ぎを行えば、これまでの漆器とは異なる表情のものに生まれ変わります。
漆器は、修復によって長く使い続けることができるのです。