MEMBER’S 02錦壽塗り

錦壽

Interview

コンセプトは普段使いしやすく美しい、「ジーパン感覚の漆器」

普段使いできるカジュアルさと、見た目の美しさの両立を目指す

錦壽は「ジーパン感覚のカジュアルな漆器」をコンセプトとした、本漆塗り専門の工房です。以前の定番漆器は、艷やかな真塗りでした。しかし、一般の方にとって真塗りは「手入れが大変そう」「扱いに気をつかいそう」という印象でした。
人々が物を選ぶときに重視する基準は美しさやフォルムではなく、扱いやすさ。漆器をつくる側としては、こだわった造形を見てもらえないことが寂しかったです。しかしそれなら、扱い方を気にしなくていい漆器を作れば受け入れてもらえるのではないかと考え、ダメージジーンズのような使用感のある「ジーパン感覚の漆器」をつくることにしました。
このコンセプトをもとに生まれたのが、刷毛根来(はけねごろ)・刷毛曙(はけあけぼの)です。刷毛根来は、黒漆で下塗りをした上に朱漆を施し、一部を磨いて下の黒を出す根来塗りに刷毛目をつけたもの。刷毛曙は、朱漆で下塗りをした上に黒漆を施し、磨いて下の朱を見せた曙塗りに刷毛目を施したもの。どちらもキズがつきにくく、目立ちません。扱いやすさを追求した漆器となっています。
錦壽では、これからも普段使いしやすく見た目の美しさにも妥協しない越前漆器をつくっていきたいと考えています。

芸術性と機能性を兼ね備えた漆器を開発

1856年創業の錦壽のはじまりは、塗師の職人でした。五代目である山㟁(やまぎし)厚夫さんは漆の特性を活かし、見た目にこだわった芸術的な漆器を多く生み出しました。錦壽のコンセプトである「ジーパン感覚の漆器」も厚夫さんの発想だそうです。
厚夫さんの芸術的な漆器に実用性を持たせたのが、息子である六代目の芳次さん。従来の漆器は木製で、ヒビが入ったり、キズがついたりすると見た目は綺麗に戻せますが完全に修復することは不可能でした。塗り直しや修理をしても、もう一度衝撃が加わればまた同じところにヒビが入ってしまいます。そうなると、どんなに大事に使い続けてもらっても買い換えるしかありません。
芳次さんが、一生物の漆器を使いたい人のためにと考案したのがステンレス製の漆器です。ステンレスなら壊れることなく、ずっと使い続けられます。実はステンレスに本漆を塗った漆器は全国的にも珍しく、より使い勝手のいいものを目指して現在も研究中だそうです。
業務用漆器の取り扱いが多い越前漆器では、ウレタン塗装のものもたくさんあります。しかし本漆には、その性質を活かした多彩な塗りの技法、抗菌作用、見た目の経年変化など、本漆ならではの魅力があります。
本漆のよさをより多くの人に知ってもらいたい。漆器を使うことで食卓が豊かになることを実感してもらいたい。そのために、錦壽は本漆にこだわった商品開発をこれからも続けていくそうです。

Product Spotlight

Sライン 3つ組椀 刷毛曙

Sライン 3つ組椀 刷毛曙

曙塗りに刷毛目がついた、刷毛曙の三つ椀応量器。国産木地に施した本漆塗りは、本格的な漆器でありながらも、普段使いしやすいカジュアルさも兼ね備えています。3つのサイズで料理や食べる量に合わせて選ぶことができ、便利。重ねて収納できるので、場所も取りません。

Company Information

  • 有限会社 錦壽
  • 有限会社 錦壽キンジュ

    担当

    山㟁芳次

    所在地

    福井県鯖江市寺中町29-1-1

    電話番号

    0778-65-3001

    連絡先

    info@urushi.com

    HP

    http://www.urushikazoku.com/