MEMBER’S 13丸廣意匠塗り

丸廣意匠

Interview

漆器の日本文化とモダンな色彩をミックスさせる塗装屋さん

伝統的な形状にモダンな色彩が映える新しい漆器のかたち

丸廣意匠は、越前漆器の産地で木製の製品に化学塗料で塗装する仕事をしています。漆器の産地だからこそ、漆の工程である下地から中塗り、上塗りまでをすべて踏まえた塗装です。木地にできてしまった溝を塗装で埋めたり、上塗りをきれいに見せるために下地の後に磨いたりしています。漆の工程を踏まえた上で塗装をするので、越前漆器特有の艶のある本漆塗りの仕上がりに近づきます。また、大きさが揃っていない器は塗装が難しいのですが、最後に磨いて艶を出すのではなく、塗ったままできれいに仕上げることができます。これも漆塗りの工程を手本にしてきたからこその技術です。
漆器の塗装技術を活かして、2018年にデッドストックの漆器や木地に塗装を施すプロジェクト「MARUHIRO SPRAY」を始めました。昔はよく使われていた伝統的な形の漆器を、現代的な色に塗り上げて商品化しています。化学塗料の特性であるバラエティ豊かな色彩や表現力を活かした器に生まれ変わりました。伝統的な形と現代的な色味が融合することで新しい姿になった漆器です。若い人にとても反応がいい商品となっています。
新しいものでも、これまでの技術が積み重なった上で生まれています。長い時間をかけて継承されてきているのが日本文化です。たとえ見た目がカラフルになっても、日本文化として漆器を受け入れて欲しいと思っています。

漆器の産地で、漆塗りの見た目と他分野技術の融合を実現

1983年に創業した丸廣意匠では、日々、技術の向上に努めてるそうです。スピードを重視する世の中となり、漆器の世界でも漆塗りほど時間がかけられない商品は化学塗料での塗りを施すようになりました。年々、化学塗料の性能が上がり、丸廣意匠への注文も増えているそうです。また、車の塗装など他業界の塗装技術を貪欲に取り入れようと試みています。新たな知識を得ることで、様々な依頼に対して適切な塗装が可能になっているそうです。本漆塗りを手本としながらも伝統にとらわれず、新しい技術を積極的に取り入れるところが丸廣意匠の魅力の一つです。
また、丸廣意匠には他の化学塗装の工房にはない強みがあります。代表の廣瀬さんは20代のときに産地の営業を経験しました。越前漆器の産地にある木地から加飾まで様々な工房に足を運び、幅広い漆器の知識を習得。そのため、丸廣意匠では職人として塗装ができるだけでなく、産地や漆器の成り立ち、業界全体のことも踏まえた提案ができるのです。
廣瀬さんは、越前漆器の産地で営業を経験したからこそ産地に育ててもらったという意識が強いと言います。若いときに一軒一軒の職人さんに知識を叩き込んでもらったから、今の僕がある。だからこそ、産地の若い人たちを応援したい、活躍して欲しい。そう、熱く語ってくれました。

Product Spotlight

MS_035(食い初め膳)

MS_035(食い初め膳)

「MARUHIRO SPRAY」の色鮮やかに塗り上げた食い初め膳。昔、貴族が使っていた形をした女の子用の御膳です。伝統的な形をした脚部は、化学塗料による石目塗り(粗目)が施されています。鮮やかなブルーに浮かび上がる模様が魅力的な商品です。

Company Information

  • 丸廣意匠
  • 丸廣意匠マルヒロイショウ

    代表

    廣瀬康弘

    所在地

    福井県鯖江市北中町535

    電話番号

    0778-65-2209

    連絡先

    maruhiro.isho@gmail.com

    HP

    https://maruhiro-isho.com/